人間関係がうまく行かない相手に対しては、多くの場合、悪感情を持っています。露骨に態度に表していない場合でも同じです。嫌いだと思う心のエネルギーが何故か相手に伝わってしまうものです。

テーラワーダに「慈悲の瞑想」という修行があります。自分に対して、親しい人々に対して、そして、生きとし生けるものに対して「苦しみがなくなりますように。」「願い事がかないますように。」「幸せでありますように。」とお祈りの瞑想をします。

それだけではありませんよ。自分が嫌いだと思う人に対して、そして自分のことを嫌っている人に対しても同じように「苦しみがなくなりますように。」「願い事がかないますように。」「幸せでありますように。」とお祈りの瞑想をするのです。

好きな人に対してなら今すぐにでも簡単に出来ます。しかし問題は後半。自分が嫌いだと思う人や自分のことを嫌っている人に対しては、今まで「オマエなんて大嫌いだ。」とか「このヤロー 地獄に落ちやがれ。」などと恨みや憎しみの思いしかなかったわけです。そんな相手のために幸せを祈ることが出来るのかという疑問が湧きあがります。とても難しいです。苦しいです。無理やり1回くらいは出来ても、生半可な決心ではまず継続できません。

私も、かつてこの慈悲の瞑想を毎日継続していた時期がありました。自分が嫌いだと思う人や自分のことを嫌っている人に対して祈ることは正直辛かったです。「なぜこんなことをしなければならないんだ。」と邪心が沸き起こります。そう思いながらもがんばって毎日継続しました。そして相手の顔を思い出すたびに心の中で手を合わせ「ありがとうございます。」と唱えるようにしました。そうしますと、心の中の違和感が少しずつ薄らいできます。次第に何も感じなくなり、最後には相手が「幸せになってくれたらよいなぁ。」などと思いはじめるのです。自分の中にしっかりあったはずの嫌悪のエネルギーもいつの間にかほとんど感じなくなっている。そして、なによりもの変化は、祈っている相手との人間関係がウソのように改善されたことです。本当に不思議でした。それまで何度も話に聞いてはいましたけど、半信半疑でした。自分で体験してみて初めて「本当だ。」と驚きましたね。

これは私がいい加減な思いつきで言っているのではなく、2500年も積み重ねられた仏教の知恵です。東洋や西洋を問わず世界中でも多くの人が取り組んでいるとも聞き及びます。騙されたと思ってやってみてください。最初は形だけで心が伴っていなくても構いません。継続することが一番大切です。きっとあなたにも大きな変化が訪れるはずです。

矢印下 矢印下
人気ブログランキングへ    
  ありがとうございます  
    ありがとうございます